患者
30代 男性
家族が当院に体のメンテナンスをかねて来院しており、紹介で来院。
主訴
左耳鳴り、うつ(5年前から)
日中は鼓膜がこもったような感じがあり、耳鳴りは比較的安定しているが夜間、部屋で1人でいると耳鳴りが気になり寝れない状態が続く。
耳鼻科で薬を処方されているが効果がないという。
聴力検査では特に異常はない。
うつについては最近は安定しているとのこと。
既往歴
うつ(5年前)
診断・施術方針
頚部、肩周囲の筋緊張、抗重力筋の緊張も強いため、自律神経の乱れがあり交感神経の亢進起こっている可能性が高い。
また、うつ病もあるため頭部の血流改善(おもに前頭前野へ)を目的としたパルス通電の鍼施術を行う。
耳周囲の血流改善を目的として、耳周囲のポイントへ鍼を行う。
施術の経過と結果
週に1回の鍼施術を7回、1クールとした。
2回目より、頭部パルス通電を行ってから夜の寝付きがいいと話す。
6回目でほぼ夜間の耳鳴りが気にならないと言うので、次回は2週間間隔を空けたが、症状が安定していたため終了として、調子が悪いときは連絡するように話をした。
まとめ
主に聴覚音源のない音が聞こえる耳鳴は主に聴覚系の異常により生じるが、 「音が気になる」、「日常生活への支障」は大脳辺縁系などに影響を及ぼし、情動(怒り、恐れ、不安、悲しみ)の変化、 自律神経による反応などによって生じること、 また、 音に意識が向くことは脳の働きであることが最近の論文から発表されている。
今回、うつもあり、情動への影響が大きかったと考えられる。情動の影響が強いと考えられる耳鳴りは、前頭前野への頭部パルス通電鍼が効果的だったと思う。