病院での勤務経験がある方や、通院したことがある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

「今日はちょっとしんどいから、点滴しておいて」
「なんとなく不安だから、とりあえず点滴を…」
この「とりあえず点滴」、実は日本独特の医療文化とも言われています。
本記事では、点滴の本当の効果や必要性、特に高齢者へのリスクについて、医療現場の視点から分かりやすく解説します。
点滴の中身と効果|「元気になる」は本当か?
点滴というと、「元気になる魔法の水」のように感じている方も少なくありません。
しかし、実際の点滴の中身は非常にシンプルです。
- 薄い食塩水(電解質:ナトリウム、カリウムなど)
- 少量のブドウ糖(500mlで約100キロカロリー)
つまり、しっかり朝食をとり、水分を飲んでいる方が点滴を受けても、実質的に得られる効果は非常に少ないのです。
それでも点滴を受けると「なんだか元気になった気がする」ことがあります。
これはいわば「治療を受けた」という安心感による錯覚であって、医学的には意味のないケースも少なくありません。
点滴が高齢者に危険な理由とは?
特に注意したいのが、高齢者が不必要な点滴を受けることのリスクです。
高齢者は以下のような特徴があります:
- 心臓のポンプ機能が低下している
- 腎臓のろ過能力が落ちている
- 血液が薄く、貧血気味になりやすい
そんな状態の身体に、点滴で水分を急速に送り込むとどうなるでしょうか?
- 血液がさらに薄まる → めまいやふらつき
- 心臓への負担増加 → 心不全リスク
- 腎臓で処理しきれない → むくみ、腎機能低下
このように、点滴は万能ではなく、むしろ身体を悪化させる可能性がある医療行為なのです。
なぜ不要な点滴が行われてしまうのか?
「医師も本当は点滴が必要ないと分かっているのに、なぜ行うのか?」
その理由の一つが、患者側の希望です。
「せっかく来たから点滴しておいて」「点滴がないと治療された気がしない」といった声は、現場ではよくあることです。
もう一つの理由は、病院の経営事情。
点滴をすれば医療報酬が発生するため、病院側としても断りづらい側面があるのです。
このように、医療の現場には“仕方なく行われている点滴”が多く存在するというのが実情です。
点滴が本当に効果を発揮する場面
もちろん、点滴が全く意味がないわけではありません。
以下のようなケースでは、明確な効果を発揮します。
- 嘔吐や下痢が続いて脱水症状を起こしている
- 高熱で水分がとれない
- 手術後で栄養補給が必要なとき
- 意識障害などで経口摂取ができない場合
私自身も、過去に風邪で下痢が2日間続いたとき、点滴を受けて体が一気に楽になった経験があります。
重要なのは、「本当に必要なときにだけ受ける」ことです。
「なんとなく」の点滴はやめよう
体調がすぐれないとき、「とりあえず点滴でも…」と思う気持ちはよく分かります。
でも、元気な人が点滴を受けても、それで良くなることはありません。
むしろ、高齢者の場合は身体にとって危険な行為になる可能性があるのです。
私たちが目指すべきは、「必要な医療を、必要なときに受ける」こと。
何もしない勇気を持つことも、時には大切な選択肢です。
まとめ|点滴の効果とリスクを正しく理解しよう
点滴は「なんとなく」するものではありません。
確かな医学的根拠があり、体が本当に必要としているときだけ受けるべきものです。
- 点滴は基本的に薄い塩水+糖分で構成されている
- 元気な人にとっての効果はほぼゼロ
- 高齢者には心不全や腎機能へのリスクがある
- 本当に必要なのは、脱水や栄養不足のときだけ
今後もし病院で「点滴しますか?」と聞かれたら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
それは本当に必要ですか?
この記事が「点滴の正しい理解」につながれば幸いです。