不妊鍼灸で妊娠率20%?広告優先の鍼灸院にご注意を
近年、妊活中の方が鍼灸院を訪れる機会が増えています。それに伴い「不妊鍼灸専門」と名乗る院も急増していますが、中には営利目的が優先され、患者さんの未来よりも売上重視の鍼灸院が増えてきているように感じます。
鍼灸院を経営している身として、「経営」は大切です。しかし、本来優先されるべきは患者様の“妊娠・出産”というゴールであり、収益はその結果に伴うものであるべきです。
学会発表で明らかになった衝撃の妊娠率
以前、東京で開催された全日本鍼灸学会では、大阪のある不妊鍼灸専門院が症例発表を行いました。
その発表によると、来院患者の累積妊娠率はたったの20%。
この数字に私は驚きました。なぜなら、妊娠を望んで通ってくる方にとって、5人に1人しか妊娠できていないということを意味するからです。
患者が増えているのは広告の力?
学会では「患者数は増加傾向にある」と発表されていたようですが、実際は大規模なネット広告や誘導的なWebコンテンツによって集客しているだけのように感じます。
その広告費は当然、治療費に上乗せされます。その結果、治療費は1回1万円以上という院が多く存在します。
雑誌掲載、神の手…実はお金で買える?
最近よく見かける「雑誌に紹介されました」「神の手認定」「芸能人が取材に来ました」といった宣伝文句。
しかし、これらの多くは**お金を支払って得た“肩書き”や“実績”**です。
- 雑誌掲載料は数万円〜10万円以上
- 「神の手」特集の掲載は5万円〜20万円
- 芸能人取材は広告業者を介した有料取材
私の院にも「冷え性や更年期特集で掲載しませんか?」という営業がよくかかってきます。料金を支払えば、だれでも「神の手」や「有名院」になれるというわけです。

本当に必要な治療は“リラックス”ではなく“医学的根拠”
その大阪の院ではエステのような施術も行っているようですが、リラクゼーションと不妊治療は別物です。
もちろん心のケアは大切ですが、妊娠という明確な目的のためには、子宮内環境やホルモンバランス、血流改善など、医学的に効果が示された施術が必要です。
一時的に気持ちよくなっても、妊娠できるわけではありません。
妊娠率20%の院のホームページは…?
その院のホームページを見ると、「ご懐妊された人数」「年間通院者数」など、実績を強調するような内容が目立つそうです。
しかし、その実態が妊娠率20%だとすれば、表示されている実績とのギャップが大きすぎます。
「実績」を信じて通院した患者さんは、いつの間にか広告戦略に巻き込まれているだけかもしれません。
不妊鍼灸は“命”を扱う医療行為であるべき
不妊治療に鍼灸を取り入れるなら、商業的ではなく、医療的な視点で向き合う院を選ぶべきです。
当院では、低出力レーザー療法(スーパーライザー)との併用や、神経内分泌学に基づく刺鍼など、医学的エビデンスのある施術を導入しています。
広告や雑誌よりも、科学的な根拠に基づいた実績と真摯な姿勢こそが、結果を出す鍼灸院の条件だと考えています。

(医道の日本誌 2018年 5月号より)
まとめ:信頼できる鍼灸院を見極めるために
- 「広告実績」だけで選ばない
- 妊娠率など具体的なデータを確認する
- エステ感覚でなく、医療として鍼灸を提供しているかを見極める
- 値段に見合った技術と根拠があるか確認する
あなたの貴重な時間とお金を、本当に妊娠につながる治療に使っていただきたいと心から願っています。
もし不妊鍼灸に疑問や不安を感じた方は、どうぞ一度ご相談ください。
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